Webエンジニアの価値とそのための教育とは
- 今年30歳になり今後どういうWebエンジニアになるべきか考えてる
- 会社の教育担当になりどういうWebエンジニアが求められるか考えてる
- ↑2つの事もあり他のWebエンジニアを客観的に見るようになってる
今年は色々と節目だったり新しい経験があったりなどで、Webエンジニアの価値と教育について考えてました。(今も考え中
とりあえず価値について調べてみる
そのままググってみたら次の記事が出てきました。
[特集:ITエンジニアの価値って何? 1/3] ヘッドハンターが「活躍できる人材か」を見極める4大ポイント - エンジニアtype
Webエンジニアよ、「脱・組織依存」で生き残れ!/リクナビNEXT[転職サイト]
これらの記事ではWebエンジニアの価値は以下が必要となってるっぽいです。
- 問題解決力
- 変化対応力
- 技術力
- 成果力
- 誰にも負けない強み
何となくそれっぽいですね。私もWebエンジニアになってから数年はこういう所が価値に繋がると思ってました、特に技術力。
ただ、今ある程度実力がついてプロジェクトや利益など、実装以外の事も考える立場になってからはちょっと微妙に考えが変わりだしてモヤモヤが続いている状態でした、実際これだけで本当にプロジェクトが成り立ち利益もでるのかなと。
Webエンジニアの価値は視点によって違うのでは
育成や生産効率をテーマにした会食にて、相談された内容は
- あるエンジニアが実力以上に過信して自己評価する
- やたら特定の技術に拘って、結局リリースが伸びたり改悪したりする
・・・んだけど、これは何なんだろう、どうしたらいい?というもの。 これに対し、自身の辿った道も思い直して出した返答が
『それは、エンジニアの反抗期だよ』
もちろんこれは、こどもがヤダヤダ拒否する(=仕事したくない)本来の意味ではなく 逆に、やり過ぎによる失敗経路への舵切りのことを指しています。 聞き手はこれで非常に納得がいった様子。
この記事を見た時、私のモヤモヤはこれだなと思いました。
- あるエンジニアが実力以上に過信して自己評価する
- やたら特定の技術に拘って、結局リリースが伸びたり改悪したりする
Webエンジニアから見た場合、ある程度の自信を持つ事は意欲に繋がる、特定の技術に拘るという事は突き進んでいる、と考えられるので私は個人的に良いと思っています。Webエンジニアの価値として意欲と強みはとても重要だと思うので。
ただ、これが仕事だと異なります。過信はだいたい他のメンバーからの評判が悪いですし、出来ない事を出来ると言ってしまう等のリスクが生じます。特定の技術に拘るという事は、特定の技術を使ったプロジェクトにしかアサイン出来なくなったり、拘りすぎてリソースやプロジェクト管理に影響が出てきます。また、過信と拘りによりそれ以外のプロジェクトは興味がない、稼働が膨らんで利益が出ないなど、言い方が悪いですが扱いづらくお金にならないWebエンジニアになりかねません。それが結果として価値を下げる事に繋がると思います。会社やプロジェクト、他の職種から見た価値と言ってもよいかもしれませんね。
Webエンジニアに必要な事
Webエンジニア = 設計、実装する人
こういう概念が一般的に強いかもですし、おそらくこれからWebエンジニアになる人たちはまずこれを頑張ろうと思ってるはずです。そしてそれはWebエンジニアのスタートとしては間違ってはいないですし、Webエンジニアから見た価値になるはずです。
もちろん、それだけがWebエンジニアの仕事ではないです。仕様調整や見積、立場によってはプロジェクト全体を見たりクライアント先に出向いてMTGするなど多岐にわたります。これが仕事から見た価値になると思います。
ただ、Webエンジニアの立場からすると、メインは設計、実装であり、その他の事はあんまりという傾向も強いかなと思います。そのため、Webエンジニアから見た価値と仕事から見た価値は違うのではと思います。(私もあんまり見積とか外出は(ry
そんな中、元同僚である id:asonas がこんな記事を書いていました。(タイトルは全く関係ないです)
前に前にと走ろうというアツい人と、冷静に確実な判断が下せる人がいい感じに揃っていて、ここぞって時に力がズバ抜ける雰囲気があったのでした。
前に前にと走ろうというアツい人 = 技術的好奇心がある = Webエンジニアから見た価値のある人
冷静に確実な判断が下せる人 = 大人なエンジニア = 仕事から見た価値のある人
この2つが上手く重なり合うと、それは確かに強い力になるなと私は肌で感じています。
ただ、今のWeb業界のサイクルや状況を考えると、Webエンジニアは1人でこの2つを持ち合わせなければいけないと私は思います。
35歳定年説などという古い言葉がありますが、今尚35歳すぎてもWebエンジニアをしている方々は、冷静な判断をしつつも新しい技術を積極的に取り込んでいる、この2つを併せ持っている気がします。
価値のあるWebエンジニアを育てる
ではこの2つの価値を持ち合わせているWebエンジニアをどうすれば育てられるのか。
私は以下の事が育てるのに重要だと感じています。
■長期的な教育
新卒研修と言うのは大抵1〜2ヶ月の研修とその後のOJTで終わるのが大半です。Webエンジニアから見た価値はこれで土台が作られ、そのままの流れで自分自身で高めていくものです。そしてこれで教育が終わります。
ただ、仕事から見た価値はこれだけでは到底無理です。プロジェクト管理や見積、利益などを考え実践出来るようになるには、教えるより経験と周りのフォローによって身に付くものです。そのため、1〜2年ほどプロジェクトを経験し、その中で徐々に意識付けを周りのメンバーがし、自分自身で考えれるようにしなければいけないと思います。
そう考えるとWebエンジニアの教育というのは、半年ほどの新卒研修だけではなく、3〜4年くらいの長期的な教育が必要ではと考えています。そしてそれは周りのメンバーの協力があって成り立つものになります。
■成長するキッカケを増やす
成長するキッカケは人それぞれだと思いますが、
「1つのプロジェクトを責任あるポジションでやる」
これが一番のキッカケだと思います、責任あるポジションをやるという事がポイントです。
先ほど新卒研修によりWebエンジニアとしての価値が高められていくと言いましたが、それにより3年目過ぎたあたりから反抗期がやってくると思います。反抗期の要因は様々あると思いますが、責任あるポジションではない所で設計や実装のみをメインにやり続けているのが一番大きいです。1〜2年目は技術的好奇心に満ち溢れているはずなのでこれで問題ないですが、3年目以降になると一人前のWebエンジニアと見られるのが大半なため、その人の価値が変わるポイントになると思います。
それを脱却するためには、責任あるポジション、ようはプロジェクトのメインエンジニアになり、設計、実装だけではなく、プロジェクトや進捗の管理、見積、稼働を考えて利益を出すという所を経験させるのが一番です。そこでWebエンジニアに必要な事を全て経験し意識するようになると思います。
また、一度失敗をしそれを認め改善させるのも良いキッカケだと思います。例えば特定の技術に拘ってリリースした結果、稼働が膨らんだのであればそれの数値を見せ、ここをこうすれば良かったねとか。ここに関しては周りのメンバーの説明や説得が必要不可欠です。
ちなみに私の成長したキッカケは以下2つです。
- 中規模のプロジェクトを初めてメインになってやり遂げた
- DBサーバのload average 70 を一晩で1以下に下げた
成長するにあたって重要な事は、その成長したというのを周りも気づく事です。
成長には成功した事による成長と、失敗した事による成長があります。反抗期の場合、失敗したという事をなかなか認めない印象が強いです。そこはやはり周りのメンバーが根気よく説明や説得をする必要があります。Webエンジニアにとって一番重要な目的は売上や結果をだす事であり、その手段が技術や知識です。反抗期なWebエンジニアは技術や知識が目的になる傾向があるため、そこを気づかせる事が大切です。
■プロジェクト、会社からの理解
1つのプロジェクトを責任あるポジションでやる、これが成長するキッカケと言いましたが、そうそう上手くキッカケはこないものです。
仕事としてやる以上、リソースや利益、安定性などを考える必要があります。成長させるために未経験の事をさせるというのは、売上やリリースの安定性と相反する事になります。これはプロジェクトや会社の視点から見るとうーんとなってしまいますね。あとは、リードエンジニアと反抗期エンジニアという選択肢があった場合、どうしてもリードエンジニアにお願いしたくなるのも事実です。
ただ、成長するには責任あるポジションでやる事は必要不可欠です。そのため、なるべくリソース管理を上手くやってキッカケを増やす事と、多少プロジェクトが赤になっても許容してもらう事がプロジェクトや会社に理解して欲しい所かなと思います。
まとめ
Webエンジニアの価値に対する考えは人それぞれなので答えはないと思います。ただ私の中では、
「技術的好奇心を持ちつつ売上を達成し周りの事を考えられる出来る子供と大人のエンジニア」
これに尽きるのではと思います。(とても中二病っぽいですがw
若い時にある技術的好奇心を尊重しながら、迷わないように周りがフォローする、そうする事で価値にあるWebエンジニアがたくさん生まれてくるといいなーと妄想してます。
そして私自身もそういうWebエンジニアになり、これからWebエンジニアになる子たちの価値を高めていけるように来年頑張ります。